顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説

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顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説

Zappos.comはアメリカとカナダで靴や衣料、アクセサリーなどを販売するネット企業で、靴のオンライン小売ではアメリカ最大手です。1999年に本著の著者『トニー・シェイ』らの出資を受けて創業され、2009年11月に約8億8790万ドルでAmazonに買収されました。売り上げ0から10年で何故その当時の評価額12億ドルが付く企業になったのか?創業から現在までを、CEOのトニー・シェイ自らが書いた本です。

同社の最大の価値は、顧客サービスレベルの異常な高さ、そしてそれを生み出しているユニークな企業文化という事はニュースで見て読んで知っていました。

私がこの本に興味を持った訳は、売り上げとユニークな企業文化がどのように発展し、関係していったのか知りたかったからです。

常日頃からスタッフのモチベーション管理には、優れた企業文化が重要な事は感じていましたが、そこには売り上げとのジレンマがあり、十分な売り上げを確保するのが先か、優れた企業文化を確立するのが先かは、鶏が先か卵が先かという事と似ている、と感じていました。

個々のビジネスを取り巻く要素は常に変化しているので、いずれのビジネスもそれぞれユニークなものに成らざるを得ません。ですので、現在のZapposの企業文化の『内容』には私はそこまで興味がありませんが、その成り立ちの中でどのように企業文化に重きを置くように変化していったのか、それはどのように売り上げに関係していったのか?は、とても興味がありました。

結論から言うと、Zapposが企業文化に本当に注力し始めたのは創業4年目からで、幾つかの小さな経営的危機を乗り越えた後で、もっとも大きな経営危機を乗り越える為でした。結果的にそこがZapposと競合他社とを差別化する点になり、さらに飛躍したのです。引用します。

ザッポスのイメージ、配送業務、ウェブサイトの全体的なデザインなどは他社がそっくり真似できますが、社員、企業文化、サービスは真似できません。さらに、絶え間ない変化を歓迎することが私たちの文化の一部である限り、他社は私たちほど速く進化することはできません。

つまりここから理解できる事は、優れた企業文化の確立は他社との良い差別化になる、という事です。いかなる企業も1日で企業文化を確立する事は出来ませんし、規模が大きくなればなるほど企業文化の浸透は難しいものになります。

そして売り上げが十分であっても、企業文化が従業員の満足出来るものでなければ人は離れていきます。つまり、企業文化は事業の継続性に強く関わっている、と言えるでしょう。そもそもその企業で働いていて幸せなのか?という人生の根本部分に関わっているのです。

下記は著者が企業文化の大切さに気づき、優れた企業文化を生み出す為に自ら調べていた、幸せを感じる事についての学術研究結果の一部です。

幸せとは、

1. 自分で自分をコントロールしていると感じられるか?
2. 自分が進歩していると感じられるか?
3. つながり(関係の数と深さ)
4. ビジョンと意味(自分自身よりも大きなものの一部となること)

の四つのことで決まります。このフレームワークの面白いところは、あなたがこのコンセプトをビジネスにも応用できるということです。

上記は事業を継続させ、他社と差別化出来る企業文化作成のヒントになります。また、顧客サービス向上の為のヒントにもなります。

Zapposのようなネット企業が抱えるジレンマとして、システムは他社でも真似が出来る、というものがありますが、Zapposはそこにユニークな企業文化という他社が真似出来ないものを組み合わせる事に成功したのです。

その他本著内で興味深かった箇所は、Zapposの前職を売却してZapposに参加するまでの期間にハマったという、ポーカーの必勝法についての下記点です。引用します。

●着いたテーブルで勝ち目がないとわかったら、テーブルを替わっても構わない。
●テーブルに少々不合理なことをしたり、経験不足の人が多すぎると、最高のプレイヤーでも非常に勝ちにくい。
●強い手なら弱く見せ、弱い手なら強く見せる。ブラフするタイミングを判断する。
●自分の「ブランド」が大切。
●想定できる最悪のシナリオに対して常に準備しておく。
●勝ったゲーム数の多い人が最終的に一番多く儲けるわけではない、
●ゲームで負けない人が最終的に一番多く儲けるわけではない。
●リスクが最小のものでなく、期待値が大きいものを選ぶ。
●プレイしているゲームと抱えるリスクに十分見合う額の手持ち資金があるか確認する。
●負けても差し支えない範囲でのみプレイする。
●長い目でみるゲームであることを忘れない。一回ごとに勝ち負けはあっても、重要なのは最終結果である。
●ゲームの仕方を理解しないでゲームをしないこと、たとえ大勢がそのゲームで儲けていても。
●賭け金が高くない段階でゲームを理解すること。
●いかさまをしない。いかさまをしても結局勝てはしない。
●自分のやり方を貫くこと。
●ゲームの動きは変化するのだから、その夜を通してプレイのスタイルを状況に適応させることが必要。フレキシブルでいること。
●辛抱強く、長期的に考えること。
●スタミナと集中力が最もあるプレイヤーがたいてい勝つ。
●他人と差別化をすること。テーブルのほかのプレイヤーがしていることと反対のことをすること。
●希望を抱くのは、よい策とはならない。
●自分を「理性を失い、つい悪い手に賭けるような感情的な状態」にしないこと。ひと休みして、散歩をするか、その晩はゲームをやめておくほうがずっとコスト効率がいい。
●継続的に学習する。
●みずから学ぶこと。本を読み、経験者から学ぶこと。
●実践により学ぶ。理論は魅力的だが、実際の経験に勝るものはない。
●才能あるプレイヤーのなかにみずからを置いて学ぶこと。
●ゲームに一回勝ったというのは、自分が上手いということでも、もう勉強しなくていいということでもない。ただ単にツイていただけかもしれない。
●アドバイスを求めることを怖れないこと。
●ゲームが好きであること。本当に上達するためには、寝ても覚めてもゲームと共にあることが必要。
●うぬぼれない。見せびらかさない。自分よりも上手い人は常にいる。
●親切に振る舞い、友達を作る。小さなコミュニティなのだから。
●自分が学んだことを他人とシェアする。
●今しているゲームを超えたチャンスを探す。新しい生涯の友達や新しい仕事の接点を含め、これから誰と知り合うかは決してわからないものだ。
●楽しむこと。単なる金儲け以上のことをしようとするなら、ゲームは何倍も楽しくなる。

テーブルは市場と置き換えする事が出来ます。ゲームは契約獲得等、企業が顧客に望む行動を起こさせた時(コンバージョン)、と置き換えする事が出来ます。

結論、マーケットで本当に勝つとはどういう意味なのかを冷静に考えろ、企業文化は1日では確立出来ないが、事業の継続性に関わるので、常にアップデートしろ、と。